2012年8月19日日曜日

立秋の裏剣(1)

【期間】2012810日~13
【形態】トレッキング
【山域】北アルプス剣岳周辺
【ルート】阿曽原~仙人池~池の平~内蔵助平~黒部ダム
【メンバー】大木場、牧野、柳澤、恩田(記)

大木場リーダーの元、暦の上では立秋とはいえ、まだまだ夏真っ盛りの裏剣に行ってきました。
予報では天気はおもわしくなく、富山方面に引き返すことも選択肢に入れてたのですが、
………

池の平~仙人池の登山道から


池の平 夕景


仙人池付近の木道から


お馴染みの逆さ剣


仙人池付近の木道



8月10日(金)
夜行バスが4名分とれなかったので、2名ずつ別のバスで、宇奈月に向かう。
宇奈月から欅平まで、関電グループが経営するトロッコ電車に乗る。
(この電源は、大飯原発でなく、水力発電の電気か?)
天気は、本日は好天。黒部峡谷の景観を楽しんで、1時間ちょっとで欅平に着く。
ここから、1時間ほどの登りで、いわゆる日電歩道という 長~~~い 水平道を歩く。
日電歩道は戦前、電源開発のため作られた道で、通常、沢沿いの登山道は、岩盤を避ける等して作られるためアップダウンが多いが、日電歩道は、岩盤がくり抜かれたりして、等高線に忠実な、どこまでも水平な道である。
欅平駅の案内図で日電歩道は通行止となっていて、駅員曰く、整備途中で自己責任で通行するようにと。が、立派な道である。

水平道のはじめは道幅が広く、明るい広葉樹が暑い日差しを遮り、立秋の涼風が心地よい。歩き始めでまだまだ疲労感もなく、時折、黒部川越しに後立山の稜線が臨まれる。
やがて、垂直な壁の岩盤がくり抜かれたり、鉄板や丸太で路肩を補強した道が頻繁に出現する。
長時間の歩行の後、阿曽原まで半分を過ぎた辺りで、志合谷の長いトンネルとオリオ谷のトンネルを通過する。だんだんと垂壁の際どい道は姿を消し、平凡な登山道となる。やがて水平な道は、一旦登りとなり、下りに変わる頃、阿曽原の小屋と幕場が見えてくる。幕場に着くと、夏の真っ盛りの週末なのに、先行は2張りのみ。
我がパーティーの幕をブッシュの上に張ったところ、羽アリのような虫の大群に襲われ、幕の場所を変えて就寝する。もちろんメンバー全員が温泉につかったことは言うまでもない。

欅平10:15- 水平道11:10 -志合谷 13:30 - オリオ谷 14:50 - 阿曽原 16:50







8月11日(土)
仙人池へ向け出発する。小屋前には、ビールの自販機が置いてある。ビールは水や雪でなく電気で冷やしている。黒三発電所はすぐ近く。
持参した20年前の地図に載っている仙人谷の北側に付けられた道は、小屋前に明瞭な取付があるが、すでに廃道になっている。小屋の人に聞くと「登っちゃダメ」と(聞けばそう言うのは当然か)。

新しい道は雲切新道というらしい、一旦仙人ダムに下りて、ダム施設の中を通り、仙人谷と雲切谷の間の尾根を登っていくものである。廃道になった旧道より1~2時間ほど余計にかかるらしい。
仙人ダムに下りると、なんと鉄筋コンクリートの立派なマンションが建っていて、さらにもう1棟建設中である。関電の宿舎らしいが、こんな奥深い山の中には何となくそぐわない。

仙人ダムの美しいダム湖を眼下に見るアルミのはしごから急登が始まる。
仙人谷の橋を渡ると、仙人池からの登山客と出会う。すれ違う登山客の多くから、「これから大変だね」が繰り返される。でも大変なのは登っている我々でなく「あんた方だ」と内心思う(私は下りが大嫌い)。
途中で単独行の登山者から、男子サッカーが韓国に負けたことを聞く。

1,629mピークを越えしばらくすると、仙人湯小屋が見えてくる。仙人谷を渡ると、上流に仙人湯の源泉の湯けむりが上がっている。仙人湯の辺りから、小雨が降ってくる。が、すぐに止んでしまう。
2カ所雪渓を渡り、木道が出てくるとまもなく仙人池に到着。が、池越しの裏剣はガスの中。少し前まで見えていたとのこと。
明日は、午前中は好天という仙人池ヒュッテ情報を聞く。リーダーは、これに懸けて、池の平泊にすると判断。池前でビールで乾杯してから池の平へ向かう。
池の平は、幕は我々だけ。小屋に風呂があるが、小屋泊まりの客しか入れない。
夕食の途中(18:30頃)、幕から出ると、ガスが晴れていて、裏剣や池平山が夕焼けに染まり、美しく輝いている。

阿曽原 06:00 - 仙人ダム 07:30 - 1,629mピーク 11:00 - 仙人湯 12:00 - 仙人池 14:50 15:30 - 池の平 16:40








8月12日(日)
3時起床の予定が、30分ほど遅れる。外に出ると、東側に星が出ている。仙人山の上に明るく輝くのは金星か。
幕場を出発すると、仙人池へのトラバース道から、ガスに包まれ頭をわずかに覗かせる裏剣が見えている。しばらくすると、ガスはとれ、目の前には、剣岳の大きな山体と、八つ峰、チンネ、小窓などの稜線が姿をあらわした。剣岳のどっしりとした量感と青空に刻まれたすばらしい山稜が見る者を圧倒する。剣のバリエーションルートは、クライマーだけでのものではない。トレッカーにも美しい景観を提供してくれる。
昨日の小屋情報が当たり、下りなくて良かったとメンバー全員が感激し、リーダーに感謝する。池からの裏剣を楽しみに、仙人池に向かう。仙人池ヒュッテの泊客はすでに撮影を済ましたらしく、池前には誰もいない。雑誌やポスターなどによく出ている、逆さ剣が池に映るあの裏剣が目の前にある。

今回の山行目的を果たし、あとは下るのみ。やがて、景色も見えなくなり、暑いから曇って欲しいとわがままが顔を出す。が、好天は続く。
二股に下り、ハシゴ谷乗越を越えると、長い涸れ沢が続き、ザックの空っぽの水筒が、のどの渇きを助長する。内蔵助平で、乾ききった体に水を補給する。
ここから内蔵助谷右岸に付けられた道は、ロープが多く取り付けられ、本当に神経を使う。崩壊が激しいようで小屋人が頻繁に補修しているのだろう。とにかく、私にとっては悪路である。さらに、この悪路で私は滑落をしてしまった。這い上がるのに時間を要したが、しばらく先でメンバーは待っていてくれた。事情を話して詫びる。悪路とはいえこんなところでチョンボをして恥ずかしいが、怪我もなくとりあえず生きていて良かった。
今日の幕場は、内蔵助谷出合である。帰京してから気がついたことであるが、この悪路では写真を1枚も撮っていなかった。

池の平 05:00 - 仙人池 06:00 06:30 - 二股 08:10 - ハシゴ谷取付 09:40 - 内蔵助平 13:00 - 内蔵助谷出合 15:50








8月13日(月)
本日は、黒部ダムに下山するのみである(といっても登りのルート)。内蔵助出合からの道は、昨日の悪路と異なり、極めて立派な道で悪いところは一切ない。こちらは関電が管理しているからであろう。
黒部ダムから、大町温泉に寄って心身を清め、メンバー全員18キップで、大町からの帰途につく。

内蔵助谷出合 07:00 - 黒部ダム下 08:00  - ダム上 08:50


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